グレーゾーン金利とは、犯罪にはならないものの、法律上は無効な金利であり、本来支払い義務のない金利帯のことをいいます。
犯罪にはならないものの、金利としては無効になるという上限金利を定めた法律は、「利息制限法」です。
他方で、これ以上の高金利は、犯罪として罰則を加えるという法律が「出資法」なのです。
まずは、「出資法」の条文を確認します。
これによると、貸金業者が29.2%を超えた金利で契約をした場合は、一番重い場合は懲役刑まで用意されています。
そのため、多くの貸金業者は、29.2%(すなわち犯罪になる金利)での貸付は行っていません。
この出資法には、罰則を緩和したり回避する抜け道は用意されていないので、多くの貸金業者はこの法律だけは守っていました。
しかし、逆にいえばほとんどすべての貸金業者は、犯罪にならないギリギリまでは違法な金利(グレーゾーン金利)で取引をしていたのです。
出資法は高金利被害防止に機能してきた面があったのですが、問題は、貸金業者が違法金利をあたかも正当であるかのように悪用できる法律「貸金業規制法」の存在です。
まずは条文を確認してみます。
赤字部分に書いてある内容を要約すると、「利息制限法で定める上限利率を超えていても、次の要件を満たしている場合には、本来無効な利率も有効とみなす」っといった意味になります。
赤字部分の意味はなんとかわかるものの、「第43条1.」以下の部分は、何が書いてあるか判然としません。
そこで、ピンク色の部分のみに着目してください。
どうやら、貸金業法で定める全ての必要書面を交付している場合の貸し付けについては、利息制限法の上限を超える利息を取得してもよいという内容が書いてあるようです。
つまり、金利が18%を超えていてる貸付に関しては、無効であるのが原則であるものの、例外的に、貸金業法が要求する全ての法定書面を用意できれば、違法利息が合法化されるという、大きな抜け道があったのです。
しかし、貸金業者が書面の交付をきちんと行ったからといって、高金利により経済的に破綻する人が減ることなどありえません。
事実、日本の多重債務者は、最大で200万人にもふくれ上がり、国民の16%、つまり、約6人に1人が、破産予備軍となる状態まで高金利の毒がまわるという事態になったのです。
歯止めのきかない多重債務者の増加傾向に終止符を打ったのは、国会議員ではなく、最高裁でした。
本来、法律上要求される書面を不備なく交付した程度では、高金利による経済的破綻は防げないことを最高裁は理解し、従来貸金業者が抜け道に使っていた、旧・貸金業規制法の適用要件を厳格解釈し、いままではグレーゾーンと呼ばれていた金利帯を、完全にブラック・違法だと断じ、多重債務者救済の道を開いたのです。
そして、このような最高裁の判断と、多重債務者救済の世論をうけて、ようやく政治家がグレーゾーンの撤廃という法改正にいたったのです。
(ただし、いまだにその法改正の効力発生日は来ていません(平成21年1月20日現在))
日本の政治家は、往々にして起業や金融に甘い法律を作ってきました。
そして、一見どちらにでも取れるようなあいまいな法律を制定し、弁護士を雇える企業だけが有利に法律を利用できる仕組みを今までは作り続けていたのです。
このような政治家の姿勢が、グレーゾーン金利を作ったのだといえます。
以上、「債務整理・借金問題におけるグレーゾーンについて」終わり。
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