住宅用家屋証明についての概要です。

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住宅用家屋証明について(執筆時2016年4月8日の法令に基づいており、この記事の更新のタイミングによっては、最新の法令に必ずしも適合しないケースがあります)

「居住用建物を新築した場合」もしくは、「中古の住宅用建物を売買か競落によって取得した場合」、買主が自然人であり、自ら住む場合には、登録免許税の減税を受けられる場合があります。

租税特別措置法の72条の2・72条の3・租税特別措置法施行令41条・42条を根拠とします。なお、文意を崩さない程度に、加工や省略を施してあります。

<租税特別措置法>
第七十二条の二  個人が、昭和五十九年四月一日から平成二十九年三月三十一日まで(この部分は更新される慣例となっている)の間に住宅用の家屋で政令で定めるもの(以下第七十五条までにおいて「住宅用家屋」という。)を新築し、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、当該個人の居住の用に供した場合には、当該住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築又は取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、千分の一・五とする。

(住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減)
第七十三条  個人が、昭和五十九年四月一日から平成二十九年三月三十一日まで(この部分は更新される慣例となっている)の間に建築後使用されたことのない住宅用家屋又は建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものの取得(売買その他の政令で定める原因によるものに限る。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十四条の三第一項において同じ。)をし、当該個人の居住の用に供した場合には、これらの住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところによりこれらの住宅用家屋の取得後一年以内(一年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合には、政令で定める期間内。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十五条において同じ。)に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、千分の三とする。


<租税特別措置法施行令>

(登記の税率が軽減される住宅用家屋の範囲)
第四十一条  法第七十二条の二に規定する住宅用の家屋で政令で定めるものは、次の各号の一に該当する家屋であることにつき、当該個人の申請に基づき当該家屋の所在地の市町村長が証明したものとする。
 専ら当該個人の住宅の用に供される一棟の家屋(隣接する二棟以上の家屋を共に当該住宅の用に供する場合には、これらのすべての家屋)で床面積の合計が五十平方メートル以上であるもの
 次に掲げる一棟の家屋でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合には、当該家屋のうち専ら住宅用の部分でその床面積が五十平方メートル以上であるもの
 建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物に該当する家屋
 特殊事例につき省略


(所有権の移転登記の税率が軽減される建築後使用されたことのある住宅用家屋の範囲等)
第四十二条  法第七十三条に規定する建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものは、次に掲げる要件のすべてに該当する家屋であることにつき、当該個人の申請に基づき当該家屋の所在地の市町村長又は特別区の区長が証明したものとする。
 当該家屋が前条第一号又は第二号イに該当するものであること。
 当該家屋が次に掲げる(イもしくはロの)家屋の区分に応じそれぞれ次に定める要件を満たすものであること。
 耐火建築物(登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の財務省令で定めるものである建物をいう。)である家屋 次に掲げるいずれかの要件
(1) 当該家屋がその取得の日以前二十五年以内に建築されたものであること。
(2) 当該家屋が建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること。
 イに規定する耐火建築物以外の家屋 次に掲げるいずれかの要件
(1) 当該家屋がその取得の日以前二十年以内に建築されたものであること。
(2) イ(2)に掲げる要件
 一棟の家屋(登記簿に記録された当該家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の財務省令で定めるものである家屋に限る。)でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合における当該家屋のうち専ら当該個人の住宅の用に供する部分でその床面積が五十平方メートル以上であるものは、前項の規定の適用については、前条第二号イに掲げる家屋に該当するものとする。
 法第七十三条に規定する政令で定める原因は、売買又は競落とする。
 法第七十三条に規定する一年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合は前条に規定する住宅用の家屋(建築後使用されたことのないものに限る。)を新築した者が当該住宅用の家屋の所有権の移転の登記に応じないため当該住宅用の家屋の新築後一年以内に訴えを提起した場合とし、法第七十三条に規定する政令で定める期間は当該訴えに係る判決の確定又は和解調書若しくは認諾調書の作成の日から一年を経過する日までの期間とする。


何だかわかりにくいですが、おおまかには一戸建てかマンション(区分所有建物)かで要件が異なるということになります。


共通する要件からまずは判断していきます。

要件1 建物であること
→土地については住宅用家屋証明による減税制度は無い

要件2 居住用であること
→住むことが必要なので、住民票の移転が必要
→法人には居住概念がなので、法人は減税非適用
→居住用でないならば、マンションだろうが一戸建てであろうが減税は無いということ

要件3 居住スペースとしての面積が50平米以上あること

要件4 「保存登記」「売買による所有権移転登記」「競落による所有権移転登記」のいずれかであること
→贈与・相続は住宅用家屋証明の適用がありません。

要件5 年数要件
→いかなる居住用建物についても、耐震安全適合物件とかいう特殊な事案でない限りは、築年数25年を超えると住宅用家屋証明制度による減税は受けられない。
→ 耐火建築物かそうでないかで、年数要件は、築年20年以内まで減税ありか、築年25年以内まで減税ありかが異なる。


つぎに、一戸建てかマンションかで要件が変わってくる部分に着目すると、一戸建ては耐火建築物・準耐火建築物でない場合でも減税を受けられる場合がありますが、マンションの場合、耐火建築物・準耐火建築物でない場合は減税を受けられません。

マンションは、登記簿上の構造が、「鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造」なら問題なく当然に耐火建築物扱いとなります。

木造マンションはあまり多くはないので、大体の場合のマンションは、耐火建築物要件は満たしてるケースが多いです。

他方、一戸建ては木造も多いですが、一戸建ての場合はマンションと異なり、木造でも築年数が20年以内であれば住宅用家屋証明制度を利用できるケースがあります。

耐火建築物なら、築年数が25年以内なら住宅用家屋証明制度を利用しうる、耐火建築物以外でも、築年数20年以内なら住宅用家屋証明制度を利用しうるということになります。

中古住宅の取得の例では、司法書士手帳に記載されている判別法がわかりやすく、上から順に判断していき、一つでも非該当なら適用除外と判断すればよく、

1 買主が個人であること

2 居住用であること

3 取得後1年以内に登記を受けること

4 売買か競落により取得すること

5 居住スペースとしての面積が50u以上あること

6 租税特別措置法73条の減税期間内であること

ここからが一戸建てとマンションでの分岐点で、

7−1 一戸建ての場合は、耐火建築物については築年数25年以内であること。耐火建築物ではない一戸建て住宅については、築年数が20年以内であること。


7−2 マンションの場合は、耐火建築物か準耐火建築物のいずれかであり、かつ、耐火建築物の場合は築年数25年以内、準耐火建築物の場合は築年数20年以内であること
→マンションの場合は、一戸建てと異なり、木造(≒耐火建築物でも準耐火建築物でもないもの)だと築年数に関係なく住宅用家屋証明が使えない

っとなります。

大体のイメージ感覚がつかめればと思います。

新築物件について住宅用家屋証明をとるために、建築確認済証又は検査済証が必要だったり、ネット閲覧謄本に照会番号および発行年月日が記載されたものがあれば謄本原本の提出は不要であったり、若干の運用の違いがあったりするので申請前に自治体に問い合わせをし、確認漏れのなきようにしなければなりません。

住民票を新居に写していないケースでは、現在住んでいる借家の賃貸借契約書のコピーと、多くの場合で「申立書」というネーミングの、現住居を処分ないし引き払って新居に住むことを上申する書面の添付が要求されることがほとんどです。

おおよその書式というか、記載事項・記載例は以下の通りです。

 

申  立  書

平成30年7月19日

 

○○区長 あて

 

所有者 住所  

氏名                   印

 

このたび、私が建築・取得した下記家屋は、現在のところ未入居の状態にありますが、自己の住宅の用に供するものに相違ありません。

 

1 家屋の表示

所在地 墨田区○町○丁目 ○番地○

家屋番号 ○○三丁目 ○番○○の○○○

 

2 家屋の住居表示 墨田区○○丁目○番○○−○○○号

 

3 入居年月日   平成○○年○○月○○日

 

4 現在の家屋の処分方法等(現在の家屋が親族の所有又は賃貸である場合は6も記入してください。)

借家につき、解除の上、上記家屋に入居

 

5 入居が登記の後になる理由

中古物件の取得につき、平成○○年○○月○○日にならないと入居ができない。

 

6 親族の申立書

  現在、家屋証明申請者が居住している家屋は私が(所有者・契約者)であり、今後この家屋に家屋証明申請者が居住しないことを申し立てます。

  住所

  氏名                印

 

なお、証明書交付後、この申立書に虚偽があることが判明した場合には証明を取り消され、税額の追徴を受けても異議ありません。


住宅用家屋証明書の取得は割と手間がかかり、必要書類の通数も多いので、事前に余裕をもって準備をしておかないと、決済日に大変な思いをします。

住宅用家屋証明書の取得先は、買主の住所の市役所ではなく、購入した物件の所在地の市役所です。

多くの場合で、

1 住宅用家屋証明書の申請書

2 住宅用家屋証明書(こちらで用意・記入したものに市役所に証明印を押してもらう形式が大半。内容は概ね住宅用家屋証明書の申請書と同じ)

3 申立書(住民票を新居に移転してない場合に必要になるものです。内容としては、前述の通り、既存住居をどのように引き払ったうえで、新居に居住するのかを説明する書面です)

を自治体のホームページから書式を入手して事前作成しておく必要がありますし、申立書には買主の印鑑が必要になるケースもありますから、早目に準備をしましょう。

重要ポイント
住民票を新居に移すかをかなり早い段階で確認。
住民票を新居に移さない場合は、現在居住してる借家の賃貸借契約書が添付書類になってきます。かなり早めに買主様に案内し、仲介を通じてコピーを早めに入手しましょう。

住宅用家屋証明の取得に当たり、必要になりがちな書類など
1 住宅用家屋証明書の申請書
2 住宅用家屋証明書
3 申立書
4 賃貸借契約書のコピー
5 不動産売買契約書のコピー
6 住民票のコピー
7 照会番号の記載されたネット謄本
8 買主様の認印
9 銀行からの金銭消費貸借契約書のコピー(これは要求されないケースもあるように思いますが、所持していた方が良いでしょう)
10 確認済証又は完了検査済証(新築の取得のケースで必要になります)
11 家屋未使用証明書(未使用の新築の取得のケースなのですが、登記簿上は建設会社が所有名義人としてはいってるケース)


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