委任状に不動産の表示の記載省略をできるケースがあります。物件の数が多すぎて省略をしたい場合等に有効です。

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14 委任状と不動産の表示の省略

不動産登記の委任状には、どのような事項を記載せよとの具体的法令は無いようです。

しかしながら、

「登記官は委任状のみにより登記申請代理人が当該事件について真実委任が与えられているか否かを審査するのであり、そのためには、委任状には具体的な委任事項が記載されていなければならない」との見解があり、実務もおおむねこれに従っています。
「増補 不動産登記先例解説総覧」登記研究編集室 編。(テイハン 1999年05月)

この見解に基づき、下記のような委任状の記載が標準的かと思います。

―――――――――――――――――――――――――――

委任状

私は,千葉県○○市○○町○○番 司法 太郎
に,次の権限を委任します。

1、下記、登記申請に関する一切の権限
登記の目的 所有権移転
原因     平成○○年丸月丸日売買
権利者   千葉県○○市○○町  土地 孝太郎
義務者   千葉県△市△町     家無 寒太
1 登記識別情報通知書及び登記完了証の受領に関する一切の権限
1 登記の申請に不備がある場合に,当該登記の申請を取下げ,又は補正すること
1 取下時の登録免許税の還付及び受領に関する一切の件
1 上記事項に関し復代理人を選任すること

平成○年○月○日

千葉県○○市○○町
土地 孝太郎         印

不動産の表示
所   在 ○○市○○町一丁目
地   番 △番
地   目 宅地
地   積 100.00平方メートル

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っが、法令条文がない以上、実務上の要請により、不動産の表示の記載省略も実例として広く普及しています。

<登記原因証明情報を援用し、不動産の表示の記載省略をする方法>

昭和39年8月24日民事甲第2864号民事局長通達によると、

「登記原因証明情報を提供して申請する場合には、例えば「平成○年○月○日付け登記原因証明情報記載のとおりの所有権移転登記」の申請を委任する旨の記載があれば足り、申請すべき登記事項及び申請の目的である不動産の表示されていなくてもさしつかえありませんとのこと。

登記事項の記載自体は、相続登記のように持分が登記事項になっているものは、持分も含めた完全な登記事項を委任状中に記載していなくても登記は通っています。今のところ補正事例は無いです。
1.後記不動産につき、平成○年○月○日相続により所有権移転の登記申請をすること。
のような振り合いで足りています。
申請すべき登記の目的と、その登記原因で足りてるのだと思います(うちでは売買の委任状も、「年月日売買による所有権移転登記の申請をすること」、とのみ記載して、売主が誰だとか買主が誰だとか、権利者・義務者の表記は記載していませんが、通っています)。


実務例としては、この省略規定は次のような形で採用されています。

―――――――――――――――――――――――――――
              委任状

私は,千葉県○○市○○町○○番 司法 太郎
に,次の権限を委任します。

1 平成○年○月○日付け登記原因証明情報記載のとおりの所有権移転登記
1 登記識別情報通知書及び登記完了証の受領に関する一切の権限
1 登記の申請に不備がある場合に,当該登記の申請を取下げ,又は補正すること
1 取下時の登録免許税の還付及び受領に関する一切の件
1 上記事項に関し復代理人を選任すること

平成  年  月  日

千葉県○○市○○町
土地 孝太郎         印

(不動産の表示と登記事項は省略可能!)
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他方で、登記原因証明情報に不動産の表示が記載されないような相続登記の事案では、「平成○年○月○日付け登記原因証明情報記載のとおりの所有権移転登記」と記載しても、対象物件の情報が登記原因証明情報たる戸籍一式からは読み取れないので、物件の表示を委任状に記載せよとの補正が来る可能性は高いです(見逃されるケースもあるかもしれませんが。。。。)
登記名義人住所変更登記も、登記原因証明情報が住民票だったりするので、やはりこちらの登記原因証明情報にも不動産の表示の記載がないため、委任状へは不動産の表示の記載が必要となります。


また、登記原因証明情報の添付を要しない登記の場合にも、委任状への不動産の物件表示省略規定は使えないので、注意が必要です。

件数の多い登記では、売買の登記、抵当権の設定抵当権の抹消は委任状への不動産の物件表示省略が通常は可能

逆に省略ができないケースとして多いのは、相続登記名義人住所変更だとざっくり認識しておくとよいでしょう。

また、不動産番号のみの記載をもって不動産の表記に代用したところ、通った法務局と通らなかった法務局があるので、委任状への不動産の表示省略ができない案件では、不動産の表記なら地番まで、建物の表記なら家屋番号までは書かないとならないようです(面積や、地目、構造は省略してもひっかかったことはないです)。うちでは、土地の場合は不動産番号、所在、地番まで、建物の場合は不動産番号、所在、家屋番号までの記載をすることが多いです。
このくらいの記載にとどめておかないと、委任状が1枚に収まらないケースが出てくるので、省略表記は適宜利用しています。

実務的にはミス回避のため、原則として不動産の表示は委任状に記載するが、銀行等がくれる不動産の表示省略のできるタイプの委任状では、決済当日は忙しいので適宜、不動産の表示の省略方式を利用するといったところでしょうか。

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