遺産分割協議書は、法務局の他、税務署だったり、銀行だったり提出先が無数にあり、ある役所には通っても、別の役所には通らない等、法律上の問題とは別の実務慣行の問題が存在しています。
16 遺産分割協議書の記載ポイント(随時更新中)
相続の仕事をしていると、司法書士が遺産分割協議書の案文作成に携わることはままあります。
不動産登記の部分は、当然、我々の本来業務なので法務局から却下されないような記載例にて作成することはそれほど困難でもないのですが、付随して、現預金やその他財産の分割に関しての案文提供のご要望がある場合もあります。
割と記載方法がデリケートになるのは、預貯金の部分です。
預貯金は、相続開始時点残高から、公共料金や水道光熱費・その他引落としがかかることで残金変動があり、また、利息によっても残金変動があり得ます。
そのため、遺産分割協議書に、具体的金額を記載すると、凍結解除や払戻しがスムーズに受けられず、銀行から再度遺産分割協議書を作りなおせ等と理不尽なことを言われることもあります。
世の中の書式集や、ネット上の記載例等を見ると、具体的金額の記載を推奨しているものもありますが、これは、銀行預金の凍結解除・払戻の観点からは良策とは言い難いです。
税務署へも、相続開始時の預金残高証明を添付することから、遺産分割協議書に具体的預金残高を記載することはマストではないので、相続人の強い要望のなき限りは具体的金額の記載は好ましくないと思われます。
やむを得ず、具体的金額を記載する場合は、残金変動時の取り扱いや、残高の時点特定文言も記載すべきこととなります(通常は、相続開始時点。「相続開始時残高」などと遺産分割協議書に記載しないと、銀行がつっかかって来ることはままあります。「遺産」分割協議書である以上、預金の残高は、当然に「相続開始時点」にしかなりえないのですが、「相続開始時残高」の文言記載を要求されるケースも存在しています)
また、一つの預金口座を、複数の相続人で分割する場合も注意が必要です。
例えば、相続人2名の事案で、長男が3分の2、二男が3分の1の割合で預金を分ける場合に、1円未満の端数が生じることがあります。
この端数の処理方法について遺産分割協議書中に記載がないと、銀行から預金の払い戻しを拒絶されるケースがあります。
簡便・スムーズな払い戻しを受けるには、預金口座の分割はケアすべき点が多く、使いにくさがあると思います。
ポイント
預金残高の具体的記載はしない方が無難(変動しうるから)
やむなく預金残高の具体的記載をせざるを得ないケースでは、残高の時点特定文言が必要
一つの預金口座を複数人で分割することはよくあるが、1円未満の端数処理条項がマスト
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