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慰謝料事件を支払督促で申立できるか

慰謝料事件を支払督促で申立できるかですが、示談や判決、調停等で支払金額が確定しているケースと、未だ確定していないケースで対応が異なるようです。

当事務所では、支払い金額が確定していない事件について東京簡易裁判所に申したてたところ、却下されました。

まずは、支払督促の法定却下事由(民事訴訟法385条)を確認してみます。



(申立ての却下)
第三百八十五条  支払督促の申立てが第三百八十二条若しくは第三百八十三条の規定に違反するとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、その申立てを却下しなければならない。請求の一部につき支払督促を発することができない場合におけるその一部についても、同様とする。
2  前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3  前項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4  前項の異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。


(支払督促の要件)
第三百八十二条  金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。
(支払督促の申立て)
第三百八十三条  支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
 次の各号に掲げる請求についての支払督促の申立ては、それぞれ当該各号に定める地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してもすることができる。
 事務所又は営業所を有する者に対する請求でその事務所又は営業所における業務に関するもの
     当該事務所又は営業所の所在地
 手形又は小切手による金銭の支払の請求及びこれに附帯する請求
     手形又は小切手の支払地
(訴えに関する規定の準用)
第三百八十四条  支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。



382条を見る限りは、慰謝料請求であっても、「金銭の給付を目的とする請求」に該当するため、当然に却下されるものではなさそうです。

次に、385条を見てみてみますと、「申立の趣旨から請求に理由がないことが明らかなとき」にも却下されることが規定されています。

「請求に理由がないことが明らか」…

あいまいな規定です。

裁判所として、明らかなる過大請求・架空請求だと判断すれば却下するものとして、支払督促の濫用を防ぐ趣旨でしょう。

そのため、支払督促制度の濫用的でない事案では、却下されるべき理由は無いはずですが、裁判所というのは、しばしば法律とは無関係な「運用」なる概念で法律をゆがめて適用することがままあるのです。

当方はかすり傷・打ち身・捻挫程度(全治2週間ほど)の自転車事故の事例で、慰謝料金額6万円程度の支払督促を東京簡易裁判所に申し立ててみましたが、東京簡易裁判所では、示談や調停等で未確定の慰謝料事件は、金額のいかんにかかわらず一律に却下する運用だと回答されました。

却下処分に記載されていた却下理由は、

「本件のような慰謝料請求は、通常訴訟等のように当事者等の審尋や証拠調べがなされず、債権者の主張のみに基づいて簡易迅速に発付される支払督促手続きには馴染まず、したがって、支払督促を発付するのは相当でない」

とのことでした。

審尋や証拠調べがなされないのは、支払督促で慰謝料請求をするケースのみならず、売買代金や家賃を支払督促で請求するケースでも同じです。

そもそも支払督促手続きは、一切の証拠調べをしない制度なので、上記却下理由では、慰謝料事件以外でも却下されるべきことになるでしょう。

しかしながら、東京簡易裁判所の運用では、未確定の慰謝料事件は支払督促を申し立てても一律に却下されるので、注意しましょう。



支払督促を申し立てられたら



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