(だからといって飲んではいけません!)
「未成年はお酒を飲んではいけない!」
これは子供のころから、学校や親から教えられてきたことでしょう。
しかし、「飲んではいけない!」とはどういう意味なのでしょうか。
なんとなく、法律で「〜してはいけない」という表現を聞くと、それに違反をすると犯罪になるような印象があります。
しかし、法律の世界では、「〜してはいけない」という定めを破っても、その違反行為を犯罪として扱うという、特別の定めがない限りは犯罪にはならないのです。
そこで、未成年者がお酒を飲むことを規制する法律「未成年者飲酒禁止法」を見てみます。
第1条 満20年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ 3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満20年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス 4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満20年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス 第2条 満20年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得 第3条 第1条第3項ノ規定ニ違反シタル者ハ50万円以下ノ罰金ニ処ス 2 第1条第2項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス 第4条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第1項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同項ノ刑ヲ科ス |
カタカナで書いてあるので、見るだけで読む気が失せますが、我慢して読んでいきます。
大正時代からほとんど改正されなかったため、このようなカタカナ表記が今でも残っているのです。
とりあえず、赤字部分が、お酒を飲んだ当人、つまり、未成年者に対する措置です。
どうやら、未成年者がお酒を飲んでいる場合は、そのお酒は行政により没収されてしまうようです。
特に、罰金を払え!とか、牢屋に入れ!とかは定められていません。
法律の世界では、罰金を払え!とか、懲役をしろ!禁固刑で牢屋に入れ!と書いていない限りは、犯罪にはなりません。
したがって、「未成年者飲酒禁止法」は、お酒を飲んでいる未成年者を罰することを目的としていないことがわかります。
お酒を未成年のうちから飲むと、将来の疾病リスクが跳ね上がったり、発育に悪影響だから禁止しているのです。
このように、「未成年者飲酒禁止法」は未成年者の保護が目的なので、お酒を飲んだ当人に罰則を与えるのは筋違いだ、っということなのです。
一方、親や酒屋さんには、第3条にて犯罪としての罰則が定められています。
青字部分を見てみましょう。
第1条2項により、わが子がお酒を飲んでるところを知った親は、お酒をやめさせる義務を負っています。
この義務に違反すると、「科料(かりょう)」という違反金が課せられ、前科が残る可能性が法的にはあります。
さらに、酒屋さんにはより重い義務が課せられています。
第1条3項により、酒屋さんは、未成年者に対してお酒を売ってはいけないと定められています。
この定めに違反すると「罰金」が課せられ、やはり前科が残る可能性が法的にはあります。
以上のとおり、「未成年者飲酒禁止法」は、お酒を飲むこと自体は犯罪とせず、むしろ保護者や酒屋さんが未成年者の健康のために飲酒を防止しなければ罪を問うという、極めて未成年者思いの暖かい法律なのです。
所長 司法書士
〒101−0042
東京都千代田区神田東松下町46番地
大木ビル3階
営業時間 10時から18時
TEL 03−5207−9393
FAX 03−5207−9394
Eメール
shiho-syoshi_at_home@hop.ocn.ne.jp
メールによる無料法律相談(債務整理・借金問題用)はここをクリック
メールによる無料法律相談(債務整理・借金問題以外)はこちら