亀中さんは最近定年退職して、念願の田舎暮らしのために、田園地帯に土地を購入、家も建てました。
亀中さんの家は、周囲をちょっとした山に囲まれており、車で外出するためには、亀中さんの家の前にあり、道路に面している兎山さんの敷地を通る必要がありました。
引越した当初は亀中さんと兎山さんは仲良くしていたのですが、ささいなことでケンカをした際に、兎山さんはいいました。
「もううちの敷地を通ることは許さない。車を使いたければ裏山を登ってそっちから通ってくれ。うちの敷地を通っているのを見たらおまわりさんに連絡するからな」
ものすごい剣幕でまくし立てます。
亀中さんは平穏な田舎暮らしを定年後の生活に求めていたため、困ってしまいました。
亀中さんは、今後は兎山さんの敷地を通ることはできないのでしょうか。
日本の法律はこのような事態を想定して、「通行権」を認めています。
以前は、「囲繞地通行権(いじょうちつうこうけん・いにょうちつうこうけん)」という、とても難しい名称でしたが、平成16年に、「公道に至るための他の土地の通行権」へと名称が平易化されました。
民法には以下のような定めがあります。
第210条 (公道にいたるための他の土地の通行権)
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
第212条
第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
日本の法律は、周りを囲まれて道路まで出ることのできない人のために、道路に接触している人の土地を通行する権利を認めたのです。
この場合、通行を認めたことによる損害金(いってみれば通行料のようなもの)を支払えば、通ってはいけないとはいえないのです。
幸いにも亀中さんは兎山さんと仲直りができたので、裁判所までいってこのような通行権を主張するという物々しい事態は避けられました。
いくら法律上の権利が発生しているとはいっても、裁判上で主張すればケンカになります。
争いごとの少ない日常生活が一番なのです。
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