念願の田舎暮らしを始めた、亀中さんが、お隣の兎山さんとああでもないこうでもないといっています。
どうやら、亀中さんが育てていたタケノコが、敷地を越えて兎山さんの家の庭から生えてきたようです。
このタケノコは、亀中さんがおいしいタケノコを育てているタケノコ名人のところにいって、若竹を分けてもらい、それを自分の庭に植えて栽培を始めたものです。
だから、亀中さんは、もともとのタケノコが自分のだから、兎山さんの家に生えた分も、自分のものだと言っています。
他方で、兎山さんは、「タケノコを食べたいとは思わないが、邪魔だから切らせてくれ」、と言っています。
このタケノコはどちらのものなのでしょうか。また、このタケノコを兎山さんが勝手に切ることには問題はないのでしょうか。
日本の法律は、このような事態を想定していました。
タケノコのように、土地にしっかりと植わっていて、地面と切り離して処分することが容易ではないものは、その土地の所有者の所有物となります。
民法第242条
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
付合とは、くっついて離れない状態です。
タケノコは、スコップなどで頑張って掘り起こさなければ土地と分離はできないと考えられるので、通常は土地の所有者のものとなるでしょう。
また、勝手に生えてきたタケノコは、勝手に切ってよいとも民法は定めています。
第233条 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
こういった比較的ささいな争いの場合、いろいろ話し合うより、弁護士・司法書士といった法律家に仲裁を頼むと解決が早いこともあります。
法律でそうなっているなら従おうか、と案外観念することも多いのです。
ところで、このような法律が何を目的として作られたのかということは、六法全書にも書いていません。
法律が作られる理由(立法趣旨)は、弁護士・司法書士・裁判官が、裁判の場で各々の解釈をしています。
今回の、「地面に埋まっているものは、その地面の所有者のものにする」という定めの趣旨は、もし、地面に埋まっているものがその土地の所有者のものではなかった場合の不具合を考えれば、理解ができます。
もし、地面に埋まっているものが、その土地の所有者のものではないとすると、どうなるのでしょうか。
この場合は、自分のものでもないにもかかわらず、わざわざ掘り起こして返却しなければならなくなります。
よその庭から勝手に生えてきたタケノコをわざわざ掘り起こせというのもむごい話です。
このように考えれば、「地面に埋まっているものは、原則としてその土地の持ち主のもの」という定めには納得ができますね。
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