日本には、1000を超える数の法律が存在しています。
それらの法律の中には、時代とともに通用しなくなっている法律や、万人の価値観とは相いれなくなっているものも無数にあります。
比較的メジャーな法律である刑法にも、個人の価値観により是非が分かれる問題があります。
今回のテーマは、親のお金を盗んでも罰せられないという刑法の定めです。
刑法には、第244条に、家族・親戚間の窃盗についての特例が定められています。
第244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗の罪、不動産侵奪の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
この特例は、親族間の物盗りに関してわざわざ裁判所が介入すると、よけいにトラブルが大きくなるから罰さないほうが良いという考えに基づいて作られました。
確かに納得がいくといえば納得がいきますが、問題は、親子間・夫婦間では、どれほど高額な金額を盗んだとしても、罰することができないという点にあります。
現在の日本の法律では、親から10億円盗んだとしても、犯罪に問うことはできません。
この10億円が、仮に親が経営する商売の運転資金であり、それが盗まれたことによって親の商売が破産にいたったとしても、刑罰を問えないのです。
同居していない兄弟間の物盗りに関しては、被害者が訴えることによって、盗んだ者に罰を与えることもできますが、親子間・夫婦間においては、被害者が訴えたとしても、罰を与えることができないのです。
筆者の感覚では、親子・夫婦といえども、被害者が訴えた場合には罰を与えられる仕組みの方が、モラルの欠如を招かないし、社会秩序の維持にもつながると思えるのですが、みなさんはどうでしょうか?
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