亀中さんは、九州の地方都市から東京に出てきて30年にもなります。
定年になったら故郷の九州の実家に帰ろうと考えていました。
そして、ついに先月、定年退職し、念願の故郷へと帰ることになりました。
亀中さんはウキウキしながら飛行機に乗り、飛行場からはタクシーで実家に向かいました。
ところが、亀中さんが実家に帰ってみたところ、見たこともない人が住んでいるのでした。
亀中さんは、「ここは私の家なのですが、どちらさまでしょう?」っとたずねたところ、住人は「私は墨追田(すみついた)というものだ。ここには20年以上も前から私が住んでいる。だからもう出て行きたくない。税金やガス・水道代も払っていたのだ」っと返してきました。
亀中さんは、「長い間留守にしていたが、登記簿の名義も私のものだし、無断で住み着いた揚句出ていかないなんて困る。出て行ってくれ」っといいましたが、墨追田さんは出ていく気配もありません。
たまらず亀中さんは、裁判所に立ち退きを求める裁判を起こしました。
しかし、その結末は、亀中さんの予想を超えていました。
なんと、墨追田さんへの立ち退きは認められず、逆に、亀中さんの家はもう墨追田さんのものであるという判決が出たのです。
亀中さんは、定年後の故郷での暮らしを楽しみにしていたのに、どうしてこんなことになったのでしょうか?
実は、民法には取得時効という定めがあるのです。
他人の所有物であることを知っていたとしても、20年間自分のものであるかのように占拠していた場合は、なんと、その占拠していた人のものになるという法律があるのです。
民法第162条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
墨追田さんは、この取得時効を主張して、ついには亀中さんの家をわがものとしてしまったのです。
長い間、だれも住んでいない家は、見知らぬ人に乗っ取られているかもしれません。
遺産分けをしないで誰のものかわからなくなっている先祖伝来の土地を所有している人は、時折様子を見に行った方が良いかもしれません。
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