逃田(にげた)さんは、7年前に事業に失敗して、不本意ではありましたが、夜逃げをしたことがありました。
逃田さんが事業に失敗して背負った借金は総額2000万円。
当時の一番の取引先である「大口商事(おおぐちしょうじ)株式会社」に対しては、1500万円もの借金を抱えていましたが、逃田さんは、住民票も移転させないで夜逃げをしたので、うまく支払を逃がれたのでした。
しかし、先日、大口商事から、突如請求書が逃田さんのもとへ届いたのです。
請求書には、7年分の利息も含めて、3000万円を払え、と記載されていました。
もう10年も前の借金について、いまさら支払えといわれても、利息も莫大に膨らんでいることもあって不可能です。
逃田さんは、また逃亡するのは苦しいので、原湾(はらわん)司法書士に相談をしてみました。
原湾司法書士は、「こんなのは時効だから払わないでも問題ないよ。内容証明郵便という手紙を送っておけば大丈夫です」っといって、手紙を一通送ったのでした。
でも、いったいなぜ、支払わないでよかったのでしょうか?
民法には、消滅時効という制度があります。
民法第167条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
これを見る限り、7年前の借金に関しては、やっぱり支払わなければならないように思えます。
しかし、商売によって作った借金は、商法という法律により、5年で支払い義務が消滅するのです。
商法第522条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。
逃田さんは事業の失敗によって借金を負いましたが、それは商売による借金だったので、5年間請求がなければ支払い義務がなくなるのです。
このような時効制度は世間一般にはそれほど認知されておらず、裁判所では既に10年以上も前の借金を請求するために金融業者が裁判を乱発していることもよく見かけます。
裁判に欠席すると、この時効を主張するチャンスが失われて、払わないでよい借金までも支払わされてしまうこともあるため、古い借金についての請求が来たときは、弁護士・司法書士等の法律専門家へ相談をした方がよいでしょう。
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