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牛山君は、大学の模擬裁判サークルに入っています。
牛山君のサークルでは、毎週一回テーマを決めて、あーでもない、こーでもないと議論を戦わせています。
今回のテーマは、「ファーストキッスを無理やり奪われたときの慰謝料」についてです。
そもそも賠償金の支払い義務はあるか、金額はいくらかなどを話し合っています。
シチュエーションとしては、飲み会の席において、酔った勢いで男性が女性の同意もなく、なかば無理やりにキスをしてしまったケースを想定しています。
まずは、女性メンバーの猫美さんが、こう言います。
「ファーストキッスは人生で最高の思い出になるものよ。だから、好きでもない人に無理やり奪われたら、200万円は慰謝料を払うべきよ」
これをうけて牛山君は、
「確かにファーストキッスは価値があるものだと思うけど、200万円は高すぎるんじゃないかな。キスなんて減るもんじゃないしね。せいぜい5000円ぐらいでしょ」っと無神経に答えました。
この答えを聞いて猫美さんは激怒しました。
「なによ。牛山君は本当に女心がわからない人ね。そんなんだから彼女ができないのよ」っと言い放ち、収集がつかなくなってしまいました。
実際のところ、ファーストキッスを無理やり奪われたことの慰謝料は、どれほどになるのでしょうか?
この手の事件は、慰謝料の算定が裁判官ごとに異なるため、いくらが妥当・適正という尺度はありません。
しかし、猫美さんには残念ながら、今回の事件では、キッスを無理やり奪われたという点についての賠償金は認めれらても、人生で最高の思い出を侵害したという点については、おそらく認められがたいものと考えられます。
なぜでしょうか?
ファーストキッスにそれだけの価値がないわけではなく、日本の裁判の仕組みから考えると、このような結論になる可能性は高いといえるのです。
それは、「奪われたキッスが、ファーストキッスであったこと」の立証がおよそ困難だからです。
日本の民事訴訟では、被害者が加害者に賠償金を請求する時には、被害者がその損害及び損害額の根拠を立証しなければなりません。
今回のケースだと、キッスを奪われたことは証明できても、そのキッスが、初めてのキッスであったことまでは証明しがたいと考えられます。
ファーストキッスとはその性質上、これまでの人生で一度もキスをしたことがないことが必要とされるはずです。
今までの人生で、一度もキッスをしていないことを証明することは困難だといえそうです。
そのため、キッスを奪われたことによる賠償金は認められるとしても、それが初めてのキッスであったことまでも考慮した賠償金は認められがたいものと考えられます。
この手の立証の壁により、通常日本の裁判では、被害者が割を食うケースが多くなっています。
裁判を起こすにあたって要した弁護費用も、全額が賠償されることは極めてまれである点からも、日本の損害賠償制度には、未だに改善の余地が多いものと考えられます。
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