会社の登記・商業登記では、一括申請すると登録免許税が安くなる場合が結構あります。多額に納税しても、還付手続きは結構面倒だったり、登記を代行する司法書士としてもお客さんに料金の案内を間違えると大変なので、注意しましょう。
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商業登記ワンポイントメモ

16 商業登記:間違えやすい登録免許税計算・一括申請すると安くなる登録免許税(随時更新中)

今回は、主に、商業登記の一括申請と登録免許税の計算について扱います。具体例を列挙して随時更新予定です。


1 商号変更と目的変更
→ 一括申請なら3万円ですむ。別々に申請するなら3万ずつの6万円

2 商号変更と監査役の新設
→ 監査役規定の新設には、当然に監査役1名以上選任の役員変更登記も必要となる(監査役規定のみ設けて監査役はさしあたって選任しないということはできない)。「商号変更」と「監査役設置会社に関する事項」は一括申請なら3万円ですむ。別々に申請するなら3万ずつの6万円。これに監査役の選任(=役員変更)の1万円で、最安で4万円

3 商号変更と監査役の新設
→ 監査役については、上述の監査役設置会社規定の新設と商号変更の同時申請の場合と異なり、一括申請をしても3万円では済まず、6万円+監査役3名以上追加で1万円増しの合計7万円かかる。

4 代表取締役の交替と監査役の追加
→ 役員変更は、肩書・人数を問わず、一括申請なら1万円(資本金1億円以下)もしくは3万円(資本金1億1円以上)



考え方・計算方法
登録免許税法・別表の料金区分が同じ区の変更登記については、複数変更しても、同一区内の料金で足りる。
別表24(一)のイ〜ソに規定がない登記事項は、全部まとめて「ツ」の区分で取りまとめている。

例:商号変更と目的変更 いずれも、別表24(一)イ〜ソに区分されてないため、ツに区分されるので、3万円で両方を変えられる。

例:「商号変更」と「監査役設置会社に関する事項」 いずれも、別表24(一)イ〜ソに区分されてないため、ツに区分されるので、3万円で両方を変えられる。
「監査役設置会社に関する事項」は、別表24(一)カには含まれず、いわゆるその他登記事項全般的分類にあたる別表24(一)ツになるのがポイントです。

例:「商号変更」と「監査役の新設」 商号変更は、別表24(一)ツに区分。他方、「監査役」については別表24(一)ワ。監査役設置会社とする定めの設定は、別表24(一)ツなので、監査役規定の設置(ツ)か、監査役規定の設置(ワ)かで大違い。
商号変更が3万円、監査役会の設置が3万円、監査役会を新設するということは監査役の変更も通常伴うでしょうからこれが1万円で7万円(資本金が1億円以上の会社の場合はさらに2万円増し)。



例:「取締役会の廃止」と「監査役の廃止」 取締役会の廃止は、別表24(一)ワ。監査役の廃止は、別表24(一)ツ。別区分なので各3万ずつの6万必要で、同時申請しても安くならない。なお、取締役会の廃止と監査役の廃止なら、別表24(一)ワ同士だから、各3万ずつではなく、同時申請なら3万で済む。



「株式譲渡制限の定め」、「株券を発行する旨の定め」は、イ〜ソに規定がない、つまりは「ツ」に区分されているので、同時に変更すれば、各3万ずつではなく、合計3万で良い。

平成27年5月1日以降に監査役の就任・退任登記をする際に登記義務が生じうる、「監査役の監査の範囲を会計限定すとする登記」については、監査役変更登記と同時申請をする場合は、登録免許税法上、同じ区の登記として扱うので、単なる監査役の変更登記と同一の登録免許税で良い。



参考 登録免許税法 別表(株式会社に関連する部分だけ抜粋及び文意が変わらない程度に加工してあります。また、委員会等設置会社も、中小企業で採用していることは、まずないでしょうから、読みやすくするために除外します)
解散してない稼働中の株式会社の本店についての登録免許税は、別表24の(一)のみに規定されています。

二十四 会社の商業登記

(一) 会社につきその本店の所在地においてする登記((四)に掲げる登記を除く。
(四)に掲げる登記を除く。とは、清算中の会社の登記は別料金という意味。

  イ 株式会社の設立の登記(ホ及びトに掲げる登記を除く。)

    資本金の額の千分の七。(これによつて計算した税額が十五万円に満たないときは、申請件数一件につき十五万円)



  ロ・ハの規定は株式会社の規定でないので省略



  ニ 株式会社の資本金の増加の登記(ヘ及びチに掲げる登記を除く。)
     
    増加した資本金の額の千分の七(これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円)



  ホ 新設合併又は組織変更若しくは種類の変更による株式会社の設立の登記

    資本金の額の千分の一・五(新設合併により消滅した会社又は組織変更若しくは種類の変更をした会社の当該新設合併又は組織変更若しくは種類の変更の直前における資本金の額として財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については、千分の七)
(これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円)



  ヘ 吸収合併による株式会社の資本金の増加の登記

  増加した資本金の額の千分の一・五(吸収合併により消滅した会社の当該吸収合併の直前における資本金の額として財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については、千分の七。これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円)



  ト 新設分割による株式会社の設立の登記
    資本金の額の千分の七。これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円


  チ 吸収分割による株式会社の資本金の増加の登記

     増加した資本金の額の千分の七。これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円



   リは相互会社の規定につき省略




   ヌ 新株予約権の発行による変更の登記

      申請件数一件につき九万円


   

   ル 支店の設置の登記

      支店の数一か所につき六万円


   ヲ 本店又は支店の移転の登記

      本店又は支店の数一か所につき三万円


   ワ 取締役会、監査役に関する事項の変更の登記

       申請件数一件につき三万円

   カ 取締役、代表取締役若しくは特別取締役、会計参与、監査役、会計監査人に関する事項の変更(会社の代表に関する事項の変更を含む。)の登記  ※いわゆる役員変更登記の区

      申請件数一件につき三万円。ただし、資本金額が一億円以下の会社については一万円。



   ヨ 支配人の選任の登記又はその代理権の消滅の登記

      申請件数一件につき三万円


   タ 取締役、代表取締役若しくは特別取締役、会計参与、監査役の職務執行の停止若しくは職務代行者の選任の登記

      申請件数一件につき三万円


   レ 会社の解散の登記

      申請件数一件につき三万円


   ソ 会社の継続の登記、合併を無効とする判決が確定した場合における合併により消滅した会社の回復の登記又は会社の設立の無効若しくはその設立の取消しの登記

      申請件数一件につき三万円


   ツ 登記事項の変更、消滅又は廃止の登記(これらの登記のうちイからソまでに掲げるものを除く。)

      申請件数一件につき三万円

※「商号変更」っていう言葉、イ〜ソまでにでてきたっけ?でてないよね。だから、商号変更はツに分類される。「株式の譲渡制限の定め」って言葉、イ〜ソまでにでてきたっけ?でてないな。だから株式の譲渡制限の定めの変更はツに分類される。「監査役設置会社に関する事項」については、「監査役」って言葉そのものは、イ〜ソのうち、ワカタに出てくるが、ワは、「監査役」ではなく、「監査役」についての規定だから非該当、カの「監査役の変更」は、いわゆる役員変更としての監査役の変更だから非該当、タは、監査役などの職務執行の停止と職務代行者についての規定だから非該当。そうなると、「監査役設置会社に関する事項」は、イ〜ソのいずれも非該当でツに分類されることとなります。

  ネ 登記の更正の登記 申請件数 一件につき二万円



 ナ 登記の抹消 申請件数 一件につき二万円

 (二) 会社につきその支店又は従たる事務所の所在地においてする登記((四)に掲げる登記を除く。)
  イ (一)イからツまでに掲げる登記
申請件数 一件につき九千円(申請に係る登記が、(一)カに掲げる登記に該当するもののみであり、かつ、資本金の額が一億円以下の会社の申請に係るものである場合には、六千円)

  ロ 登記の更正の登記又は登記の抹消 申請件数 一件につき六千円

 (四) 会社につきその本店若しくは主たる事務所又は支店若しくは従たる事務所の所在地においてする清算に係る登記
  イ 清算人又は代表清算人の登記
申請件数 一件につき九千円

  ロ 清算人若しくは代表清算人の職務執行の停止若しくはその取消し若しくは変更又は清算人若しくは代表清算人の職務代行者の選任、解任若しくは変更の登記 申請件数 一件につき六千円

  ハ 清算の結了の登記 申請件数 一件につき二千円

  ニ 登記事項の変更、消滅若しくは廃止の登記(これらの登記のうちロに掲げるものを除く。)、登記の更正の登記又は登記の抹消 申請件数 一件につき六千円






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