株式会社の解散、合同会社の解散、有限会社の解散にあたって、定款を添付するしないが異なっております。
20 解散登記と定款添付の要非(平成28年5月13日執筆時点での法令によります)
<株式会社の解散及び清算人就任登記>
定款は必須書類となります。
清算人と代表清算人が同一でも、登記事項としては、必ず清算人・代表清算人の事項を格別に登記する必要があります。
(清算人の登記)
商業登記法第七十三条 (株式会社の)清算人の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
登記の事由び登記事項の一例
登記の事由
解散
平成27年6月30日清算人の選任
登記事項
「解散」
平成27年6月30日株主総会の決議により解散
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「氏名」法務 太郎
「役員に関する事項」
「資格」代表清算人
「住所」東京都葛飾区○○町1丁目2番3号
「氏名」法務 太郎
税金39000円
<合同会社の解散及び清算人就任登記>
社員総会で清算人を決めれば定款の添付を省略できるため、この方法をとるのが基本。※業務執行権のある社員の過半数の決議で良い(会社法647条1項3号)。全社員同意までは不要。
業務執行社員がそのまま清算人にスライドする方法は定款の添付が必要になるからあまりうまくない。
定款に清算人の選任方法を定めている場合は、定款の添付が必要(定款に清算人の選定方法を定めるケースはレアですが)。
裁判所の判決に基づく解散・清算の場合は、定款は不要。
第八節 合同会社の登記
(準用規定) 第百十八条 第四十七条第一項、第四十八条から第五十三条まで、第九十三条、第九十四条、第九十六条から第百一条まで及び第百三条の規定は、合同会社の登記について準用する。
第九十九条 次の各号に掲げる者が清算持分会社の清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
(清算人の就任)
清算人の登記事項としては、あえて代表清算人を平清算人と区別して登記したいときだけ、代表清算人の事項が登記事項となるが、通常は、清算人の事項だけを登記するケースが多いと思われる。
登記の事由び登記事項の一例
登記の事由
解散
平成26年8月31日清算人の選任
登記事項
「解散」
平成26年8月31日総社員の同意により解散
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「住所」東京都渋谷区○○町1丁目2番3号
「氏名」法務 太郎
税金39000円
<合名会社・合資会社の解散及び清算人就任登記>
合同会社と同じで、社員の同意によって清算人を選べば定款の添付は不要となるので、この方法で。
<特例有限会社の解散及び清算人就任登記>
株主総会で清算人を選任すれば、定款の添付は不要。
代表取締役が清算人にスライドする場合、定款の添付は不要(登記研究707号194頁)。
理由としては、特例有限会社には清算人会の概念がないので、定款を添付せずとも、当然に代表権のある取締役はすべて清算人となり、清算人会の定めが定款にあるかの立証が不要だからとされています。
代表権のある清算人と、平清算人を区別して設けること自体は可能であるが、登記事項としては、平清算人は登記事項とならない。
そのため、「代表清算人」という登記用語が有限会社の登記簿には登記されない仕様なので、代表権のある清算人のみを、「清算人の住所・氏名」という登記事項として登記する。
登記の事由び登記事項の一例
登記の事由
解散
平成27年6月30日清算人の選任
登記事項
「解散」
平成27年6月30日株主総会の決議により解散
「役員に関する事項」
「資格」清算人
「住所」東京都葛飾区○○町1丁目2番3号
「氏名」法務 太郎
税金39000円
まとめ 株式会社以外の会社の場合、社員総会で清算人を決定する方式にすれば定款添付を省略できるので、解散決議と同時に清算人を定めておくのが良い。
ただし、レアケースとして、定款に定めた解散理由によって解散する場合は、定款の添付は省略できない。
なお、解散及び清算人就任登記自体には、印鑑証明書の添付が必要との条文がないように思えるが、実際は印鑑登録をする都合上、印鑑証明書が必須書類となる。
※株式会社以外の会社については、「社員総会」という法文上の用語が存在しませんが、便宜、このページでは社員の過半数同意や、全社員同意のことを総称して社員総会と呼んでいます。
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