めったに取り扱うことがないですが、協同組合の登記についてです。単なる備忘録に近いかも。


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商業登記ワンポイントメモ

21 協同組合の代表理事の変更

協同組合の登記簿には、「代表理事」は登記されますが、代表権のない、いわゆる平理事や、監事は登記事項になりません。

そのため、役員変更登記は、代表理事についてのみ生じることとなります。

登録免許税法上、課税条文が存在しないので登録免許税は不要です。

役員の選任方法は、条文上は、「定款の定めるところにより、総会において選挙する。」とあり、投票権は、一人一票であり、出資口数により投票権が増やせるとは条文上言及がありませんが、中小企業等協同組合法35条9項に、「投票は、一人につき一票とする。」とありますから強行法規と考えられます。
他にも、無記名投票原則(35条8項)ではありつつも、出席組合員全員の同意による指名推選の方法もあり、さらには35条13項に「 第三項の規定にかかわらず、役員は、定款の定めるところにより、総会(設立当時の役員は、創立総会)において選任することができる。」とありますので、選挙ではない、株主総会での役員選任的なスタイルでの選任方法もできるようです。

任期は特段の定めをしない場合は、2年以内。オプション的定めとして、任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時まで伸長することができます。
ただし、初年度は、任期1年or定款にその旨定めることによる初年度の決算期に関する通常総会の終わりまでのいずれか。


中小企業等協同組合法

(議決権及び選挙権)
第十一条  組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。

(役員)
第三十五条  組合に、役員として理事及び監事を置く。
 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
 役員は、定款の定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。

(役員の任期)
第三十六条  理事の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。
 監事の任期は、四年以内において定款で定める期間とする。
 設立当時の役員の任期は、前二項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年を超えてはならない。
 前三項の規定は、定款によつて、前三項の任期を任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
 前三項の規定にかかわらず、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監事の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

(代表理事)
第三十六条の八  理事会は、理事の中から組合を代表する理事(以下「代表理事」という。)を選定しなければならない。





登記の事由及び登記事項の例としては、

登記の事由
代表理事の変更

登記すべき事項
「役員に関する事項」
「資格」代表理事
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」法務次郎
「原因年月日」平成○○年○○月○○日退任
「役員に関する事項」
「資格」代表理事
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」法務太郎
「原因年月日」平成○○年○○月○○日就任

法務省の書式によれば、「任期満了により」退任等と書かないでもいいようです。
http://www.moj.go.jp/content/001175383.pdf#search='%E5%8D%94%E5%90%8C%E7%B5%84%E5%90%88+%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E7%90%86%E4%BA%8B%E3%81%AE%E5%A4%89%E6%9B%B4'




定款の添付は任期や役員の選任方法の証明のため、必要なようです(法務局によって運用が異なるかもしれません)

総会議事録中の記載に、「任期満了によって退任する理事だれそれの後任として次のものを選任うんぬん」との文言があれば、任期を証明する定款が添付不要になるかは条文上は判然としません。

代表理事は、理事会の決議で選びますが、この代表理事を選任する議事録には、出席理事全員の個人の実印印鑑証明を用意するか、新代表選任直前の代表理事が平理事としては退任しておらず、新理事選任の理事会には出席できている場合は、法人実印を押印することで、理事会参加者全員の印鑑証明の添付省略が可能となります。



標準的な添付書類としては、

1 代表となるべき理事が平理事として選任されたことを証明する総会議事録

2 代表理事を選任した理事会議事録

3 理事及び代表理事としての就任承諾書(これそのものには実印印鑑証明は不要。但し印鑑届出の絡みで印鑑証明が必要になるケースはある)

4 定款

5 代表理事を選ぶ理事会への出席理事全員の印鑑証明(前代表理事が法人実印を理事会議事録に押印できている場合は不要)

6 委任状

7 印鑑届出書(代表理事に変更がある場合)

8 上記印鑑届出書に添付する、新代表理事の個人の実印印鑑証明

9 印鑑カード交付申請書(カードの引き継ぎをするなら不要)

といったところでしょうか。


商業法人登記の申請に個人の印鑑証明書を添付すべきケースは商業登記規則第61条2項、3項、4項にあります。

印鑑証明書が必要な場合は

@就任承諾書の実印を証明する必要があるとき(2項、3項)
A議事録の真性を証明するための議事録署名者の実印を証明する必要があるとき(4項)

となりますが、事業協同組合の代表理事の変更手続きについては、商業登記規則第61条2項と3項にちては適用がないので、ひらたくいうと、就任承諾書への実印押印義務もなく、印鑑証明が不要なケースがありますが、印鑑登録をする際に新代表理事の印鑑証明が必要になるケースは結構少なくないので、案内を間違えないように。



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