合同会社は設立が簡素であったり、運営方法が株式会社よりも簡素な点があり、使い勝手がいいケースもありますので、主だった違いをつらつらと書いていきます。
36 合同会社の特徴・株式会社との主な違い(随時更新)
最近は合同会社の設立数も徐々に増えてきていると思います。
世間一般には有限会社に比べると知名度はまだまだであり、怪しい会社、うさんくさいというイメージをもたれたりすることもあるかもしれません。
しかしながら、株式会社には無い固有のメリット・デメリットもありますので、そのあたりを気づいたらどんどん書き足していきます。
<合同会社の特徴・株式会社との相違点>
1 役員(業務執行社員といいます)の任期を無期限にできる。株式会社は10年が最長です。
2 設立手続きに、出資処理のなされた通帳のコピーが不要。
出資金の領収書という形で、代表社員が発起人より出資を受けたことを証明すれば足ります。
株式会社の設立手続きと異なり、払込取扱機関が法定されていないからです(会社法24条(設立時出資)や208条(増資)に出資の履行は銀行等法定金融機関しか取り扱えない旨の規定がある)。
合同会社の出資の履行に関しては578条に規定があるが、払込取扱機関の規定がない。
合同会社には、直接に増資の規定をする条文がなく、有限責任社員の追加に関する規定しかないので、有限責任社員の追加に伴う増資の際にも、出資金を銀行等で取り扱う必要はない。
3 設立時の定款認証が不要。上記出資証明の自由度も相まって、設立スピードを極めて速くできる。
4 株主総会に対応する、社員総会の概念がない。会議体がないということは招集の概念もない。議案が可決できているかが立証されていれば足り、出席者を記載する必要がない(出席の概念がないから)。社員総会議事録なる概念もないので、議事録の法定記載事項も株式会社と異なり、自由度が高い。ただ、登記の書類の名目としては、社員総会議事録という名前を使わなくもないが、社員決定書といった記載も多い。
5 法人役員が可能。
6 商業登記に当たり、株主リストやこれに対応する社員リストは添付不要。
7 要件を満たすと、パススルー課税の器(SPV)にもできることがある。
8 業務執行を取り仕切るためには、社員になる必要があるので、非出資者が業務執行をすることができない点は株式会社より不便。株式会社は非出資者も代表取締役になれる。
9 役員変更が煩雑なケースがある。
→役員(業務執行社員)を追加する場合、前提として有限責任社員になる必要から、出資が必要となり、定款変更による社員の追加・増資手続きがワンセットになってしまう。株式会社では、役員の追加は増資とは切り離されているので、簡便。
10 合同会社の現物出資については、検査役の規定がない。
11 合同会社の社員が死亡した場合は、定款で定めを置かない限りは、持分は相続されず、法定退社事由(会社法607条1項3号)による当然の退社となり払戻の上、相続人に金銭分配されることとなる。
→唯一の社員が高齢などで相続が想定される場合は、定款にて持分が相続人に相続されることを規定する必要がある。
12 合同会社は決算公告の義務がない。
13 合同会社には、決算書類の承認義務規定がない。
14 合同会社で個人の実印の印鑑証明が必要になるケースは、会社実印の印鑑届出の場面のみであり、代表社員や業務執行社員への就任承諾書や、会社設立時の発起人決定書・定款変更時の総社員同意書の印鑑は認印で足りる。
15 株式会社と異なり、合同会社は自己株式を保有するかのごとく、自己持分を保有することができない(会社法587条1項…持分会社は、その持分の全部又は一部を譲り受けることができない。
)。
16 合同会社も株式会社と同様に、業務執行社員全員が代表権を有する場合でも、代表社員という機関は必置機関なので、このケースでは業務執行社員全員を代表社員として住所の登記まで必要となる。
17 合同会社では定款で定めた代表社員が死亡などで退社した場合、他に業務執行社員がいるならば代表権が復活し、登記手続き上は、「代表権付与」登記により代表社員化してもらう。
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