40 理事会のある一般社団法人の代表理事を選任する理事会議事録と印鑑証明
理事会の設置のある一般社団法人の代表理事の変更登記。
割とレアな登記の部類かと思います。
理事会設置(監事も必置機関となります)の一般社団法人を新設するケースはかなりレアなので、規制緩和前に設立された一般社団法人について、このような登記を取り扱うケースがあるかもしれません。
理事会設置会社では、法律上のデフォルト規定としては、理事会にて代表理事を定めることとされておりますが、定款で定めることで、理事会があるけれど、代表理事を社員総会で選ぶこともできます。
また、理事会がない場合でも、定款に、平理事の互選により代表理事を定めることとする規定も可能ですし、定款に代表理事の住所氏名を直接規定・選任したり、社員総会で代表理事を選任する方法が可能です(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律77条)。
理事会で代表取締役理事を選任する場合は、取締役会のある株式会社の代表取締役の選任登記に似ていますが、若干違う箇所がありますので、そこを確認してみます。
<原則方式>
代表理事を選任した理事会議事録に、理事会に出席した全ての理事及び出席した全ての監事が個人の実印で押印し、押印した個人実印に係る印鑑証明書を添付する。
ただし、既存の代表理事が退任していないならば、法人実印を理事会議事録に押印することで、個人実印の押印をしないでよくなり、個人実印の印鑑証明の添付も不要となります。既存代表理事が代表理事としては辞任していても、平理事としては出席していれば、やはり法人実印による押印で個人実印の印鑑証明書の添付省略ができます。
<定款にて理事会議事録の押印義務者を出席した理事と監事全員ではなく、代表理事と監事のみで足りる旨定めてる場合>
理事会議事録の押印義務者について、株式会社と異なり、一般社団法人は上記のような簡易な取り扱いができる旨、法定されています。これによって、平理事に過ぎない者の印鑑証明は省略可能です。
もちろん、デフォルト規定ではないので、登記に当たっては定款の添付が必要となります。
理事会議事録については押印義務者が法定されておる半面、社員総会議事録については押印義務者が法定されていない点もポイントでしょうか。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(理事会の決議) 第九十五条
理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
代表者選任事案について、議事録への印鑑証明添付規定は、代表者選任に賛同しない者が印鑑証明書を交付しない等の妨害行為が可能なため、好ましい規定とは言い難い面があります。
取締役会や理事会に出席はしておきつつ、印鑑証明は交付しないという態度をとると、少なくとも登記は通らないという妨害がなされることがありえます。
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