41 NPO法人(特定非営利活動法人)の役員変更と印鑑証明
NPO法人の役員変更登記は、株式会社や一般社団法人の役員変更登記とずいぶん違います。
まずはそのあたりを軽く触れつつ、印鑑証明の添付についても確認していきます。
「役員変更」とはいうものの、「理事」以外登記できないので、役員変更=理事の変更となる。
「理事会」は法定されておらず、登記できない。
「理事長」「代表理事」は法定されておらず、登記できない。
「監事」は法定されており、必置機関だが登記できない。
「ひら理事」を置いたとしても、ひら理事は登記できず、代表権のある者のみを「理事」として登記する。
「理事」の選任方法は法定されておらず、社員総会で定めることが標準的だが、理事を理事会で選任するというスタイルもできる。
なお、理事の選任方法が法定されていないため、役員変更では必ず定款を添付して理事の選任方法を法務局に明らかにする必要がある。理事の選任方法すら法定されていないので、代表権のある理事を選任する方法も任意であるし、全員代表が原則。
法定機関としての「理事会」は存在しないが、理事の員数は3人を下回れない。
「理事」の任期は固定任期の2年以内となっている。ただし、「定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、同項の規定により定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が終結するまでその任期を伸長することができる。」(特定非営利活動促進法24条2項。「」内、条文そのまま引用)。
固定任期の2年だと、標準的な議事録の記載方法や、役員選任方法を採用する限り、重任登記はできないと思われる(退任日は23時59分59秒の属する日となる半面、日付をまたいだ00時00分00秒から新任期が開始し、退任日と就任日が同日にならないから。)。
ただし、前述の任期伸長の定款規定を使えば、総会終了と同時・同日に任期満了と新任期開始が可能なので、このケースの重任は問題無くできる。
「理事の就任承諾書」には、代表権の有無を問わず、「個人の実印の印鑑証明」は添付不要。
ただし、法人実印の提出をする場合は、印鑑届出書に「個人の実印の印鑑証明」が必要となる。
「理事」を選任する議事録(社員総会議事録や理事会議事録等)には、印鑑登録をしている理事が法人実印を押印していない場合、出席理事などの、議事録へ押印すべき者の、個人の実印の印鑑証明が必要になる。
なお、議事録への署名義務が法定されていないので、出席理事ではあるものの、記名押印はせず、かわりに、(事実上の代表)理事と、議事録署名人が押印するスタイルの場合は、(事実上の代表)理事と、議事録署名人個人の印鑑証明を添付することとなる。
なお、平成24年4月1日の、特定非営利活動促進法の改正により、代表権のある理事とひら理事を区別できるようになったため、定款に、
「理事長は当法人を代表する。」(←この定めは、法務局の運用では、ひら理事の代表権を奪っているものと解釈します)
っとか、
「理事長以外の理事は当法人を代表しない。」
などの定めを設けている場合は、
代表権のない、いわゆるひら理事については、「平成24年4月1日代表権喪失」を登記原因とした退任登記をすべきこととなります。
登記事項別紙の記載例としては、
「役員に関する事項」
「資格」理事
「住所」東京都千代田区○○区△△
「氏名」法務太郎
「原因年月日」平成24年4月1日代表権喪失
といったところです。
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