43 自己株式の法的性質について
中規模くらいの会社さんだと、株式譲渡制限会社であっても、たまに自己株式を取得している会社があります。
なんらかの必要性に迫られ、自己株式を取得したのでしょうが、自己株式ってよくわからない。
会社法の条文を見ても、自己株式については、自己株式たるものはこういうものだ、っとまとめて一つの条文で規定されているわけではなく、会社法全体に、個別ばらばらに規定が散っていて、その性質は容易には把握しがたいものとなっています。
議決権はあるの?配当はもらっていいの?
などなど疑問に思うところが少なくないでしょう。
そこで、備忘録的にも、自己株式の法的性質について思いついたところを列記していきます(随時加筆)。
1 議決権がない。
会社法308条2項に、自己株式については、株主総会において議決権がないことが法定されている。
2 配当を受けられない。
会社法453条に、自社は自分で配当を受けることはできない旨が規定されています。
3 残余財産分配請求権
会社がなくなるのに、残余財産を受けられないのは自明ですね。条文としては、会社法504条3項となります。
4 新株の割り当てを受けられない。
会社法202条2項
5 自己株式については、「新設分割が実行された後の対価としての新設会社の株式」の交付は受けられない。
→新設分割が実行されると、新設会社の株式が分割会社そのものに全部交付される。この新設会社の株式を分割会社の株主に交付するには、現金以外の財産を配当する手続きとして、交付することとなる。ここで、自己株式については、会社法453条により配当を受けることはできないので、結果的に、自己株式については、会社分割が実行されても、分割対価としての新設会社の株式の交付はなされないこととなる。
6 自己株式は、株式分割(※会社分割ではない)の際は、他の株式と同様に分割・増加する。
→自己株式についての禁止・例外規定がない。
7 自己株式の取得は、配当可能減資の中でしかできないという財源規制があるが、「合併、会社分割、無償での取得」などの場合は、財源規制がない。
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