実務上、株主総会議事録には、現代表に会社の実印をついてもらうことにより、会社としての登記意思確認をするようにしています。しかし、会社の実印さえ押してあれば、どんな登記でもできると勘違いしていると、旧代表解任・更迭ないし退任の際に落とし穴にはまってしまいます。

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商業登記ワンポイントメモ

7 株主総会議事録に個人の実印を押印しなければならない場合 役員変更と株主総会議事録の印鑑証明

法律上、新たに取締役を追加するだけなら、株主総会議事録に即時就任承諾文言が入っていると、新たに就任する取締役の印鑑証明を省略できることとなっていますが、実務的には、就任承諾書を別途作成し、実印と印鑑証明をもらう方法で就任意思確認をしたほうがよいです。

ここで、ついうっかり、「結局のところ、会社の実印さえあれば、新役員の印鑑証明はいらないでしょ〜」、みたいに思っていると、

現代表が退任し完全に役員から抜け、新代表のみが新体制の役員になると定めた株主総会議事録に、「引き継いで使う会社の実印のみを押して、登記をしとけばいいんでしょ」、っと登記申請を出すと、ばっちり補正が来てしまいます。

旧代表が退任している場合は、新代表の個人の実印を株主総会議事録に押印し、個人の実印の印鑑証明をつけなければならないのです(ミスをしてしまっても、就任承諾書には常に個人の印鑑証明をもらうようにしておけば、申し訳ないです、といって新代表に個人の実印を押してもらうだけでどうにか事足りることが多いです)。
旧代表が、旧代表の名前で会社の実印を押す必要があり、会社の実印を引き継いだ新代表が、新代表の名のもとに議事録に押印しても、要件不備なので、正しくは、新代表個人の実印を、新代表選任の株主総会議事録に押印しなければならないこととなります。

急いでいるときは、うっかりミスをしがちですから、要注意です。


<登記が受理された事例>
平成26年10月16日、唯一の代表が辞任し、同日に後任が就任する事案。
提案者は、株主たる新代表。株主総会書面決議にて、新代表選任のみを決議・記載し、決議と同時に新代表が就任承諾をした旨も記載しておく。この議事録には、旧代表が会社実印にて押印し、新代表の個人の実印は押さない。
念のため、新代表の就任承諾書も同日付で作成しておく。
同日付で、旧代表の辞任届作成。
この代表者交代の登記を、新代表が旧代表の会社実印を引き継ぐ形で印鑑登録し直して、登記申請をする。
このケースでは、新代表選任の株主総会議事録に新代表の個人の実印の押印がなくても受理された。

<間違いやすい事例>
平成26年10月16日、唯一の代表が死亡し、同日に後任が就任する事案。
提案者は株主たる新代表。株主総会書面決議にて、新代表選任のみを決議・記載し、決議と同時に新代表が就任承諾をした旨も記載しておく。この議事録は、旧代表は死亡しているため、新代表が押印せざるを得ない。
上記の事例と異なり、新代表を選任する株主総会議事録に、旧代表が押印することができないため(死亡しているから)、新代表が、新代表を選任する議事録に個人の実印をつく方法しかない。




参考条文 商業登記規則第六十一条
代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

一号  株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
号  取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三号  取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

ひどく読みにくいですが、典型的パターンである、株主総会で代表を定めるケースでは、

株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合、議長及び出席した取締役が株主総会の議事録に押印した印鑑(ここまで規則61条4項1号)
(ここから61条4項本文)につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

っとなります。

加工しないと文意が理解できないのは、我が国の法律ではデフォルトです。

コピペができない時代は、さぞ解読に難儀しただろうと思います。


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