バンドメンバー募集掲示板サイトへの書き込みで呼び寄せ、
高額な所属契約を勧誘していた音楽事務所に勧告
平成21年10月1日
生活文化スポーツ局
本日、東京都は、インターネット掲示板に個人がバンドメンバーを募集しているかのようによそおう書き込みを行って、ボーカル志望の若い女性を事務所へ呼び寄せ、高額な所属契約を勧誘していた音楽事務所に対し、東京都消費生活条例(以下、「条例」という。)第48条に基づく勧告を行いました。
同事業者は、支払えないと言う消費者に、「返済は事務所が行うから」と告げて、消費者金融会社等から借金をさせて、契約金を支払わせていました。
なお、事務所所属契約は、現在、「特定商取引に関する法律」の対象役務となっていないため、条例に基づく勧告を行うものです。
1 事業者の概要
事業者名:有限会社サウスセントラルレコード
代表者名:代表取締役 斉藤俊彦(通称 斉藤夕也)
所在地:東京都品川区東五反田五丁目22番37号 ツカサ本社ビル6階
設立:平成9年8月20日
業務内容:ロックバンドのプロモーション
資本金:300万円
従業員数:1名(代表者のみ)
2 東京都における当該事業者に関する相談の概要
○相談件数(平成21年9月末現在)
年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 20年度 | 21年度 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 1 | 1 | 3 | 2 | 7 | 0 | 14 |
○年齢 平均23.7歳(最高32歳、最低18歳)
○契約金額 平均1,002,857円(最高2,400,000円、最低300,000円)
3 主な勧誘行為の特徴
- バンドメンバー募集専門のインターネット掲示板に「他のメンバーはそろっているが、ボーカルだけがいないので募集する。20歳から25歳の女性限定。」などと書き込み、連絡してきた消費者に対し、ボーカルになるには所属契約が必要であること及び契約は有料であることを告げずに、事務所へ呼び寄せていた。
- 長時間の勧誘を行い、消費者が「家に帰ってよく考えたい」と言っても「今日でないとダメ」などと執拗に勧誘した。
- 「支払えない」と言う消費者に、「消費者金融で借りてもらって、返済は事務所がする。あなたの負担にならないから大丈夫。」等と告げて、消費者金融会社の携帯サイトのURLを示して借入を申し込むように勧め、借金をさせて契約金を支払わせていた。
- 消費者が消費者金融会社に借入を申し込む際に、架空の会社名と当該事業者の電話番号を示して勤務先として申告するように指示したり、「借入目的は旅行にしなさい。」などと指示したりするなど、消費者金融会社に虚偽を告げるよう指示していた。
4 東京都消費生活条例第48条に基づく勧告の内容
- 消費者に対し、販売の意図を明らかにせず、若しくは販売以外のことを主要な目的であるかのように告げて、又はそのような広告等で消費者を誘引することにより、契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。
- サービスの内容、取引条件、取引の仕組みその他の取引に関する重要な情報であって、事業者が保有し、又は保有し得るものを提供しないで、契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。
- 消費者に迷惑を覚えさせるような方法で、契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。
- 消費者の年齢、収入等契約を締結する上で重要な事項について、事実と異なる内容の契約書等を作成して、執ように契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。
- 購入資金に関して、消費者からの要請がないにもかかわらず、貸金業者等からの借入その他の信用の供与を受けることを勧めて、執ように契約の締結を勧誘しないこと、又は契約を締結させないこと。
- 契約に係る損害賠償額の予定、違約金又は契約の解除に伴う精算金の定めにおいて、消費者に不当に高額又は高率な負担を求める条項を設けた契約を締結させないこと。
5 勧告の対象となる主な不適正な取引行為
不適正な取引行為 | 根拠条項 |
---|---|
ボーカル募集記事をインターネットのバンドメンバー募集掲示板に掲載する際、「他のメンバーはそろっているがボーカルがいないので募集する」と、あたかも個人のグループが募集しているかのように記述して、ボーカルになるには所属契約が必要であること及び契約は有料であることを表示していなかった。さらに、消費者を事務所へ来訪させる際、所属契約の勧誘が本来の目的であることを、消費者に告げていなかった。 | 条例第25条第1項(以下、同条)第3号・施行規則第6条第1号 販売目的隠匿 |
「会社がちゃんと返済するから大丈夫」と言って、消費者金融会社から借金をさせて契約金を支払わせたが、会社の経理状況によっては返済が滞る可能性があることを説明していなかった。 | 同条第3号・施行規則第6条第2号 重要事項不告知 |
消費者に対して長時間の勧誘を行うとともに、消費者が契約をためらって「契約書を家でじっくりと見たいので持ち帰らせてくれ。」、「家に帰ってよく考えてからで良いか。」などと言ったにも関わらず、「それはできない。今日でないと駄目だ。」としつこく勧誘を続けるなど、迷惑をおぼえさせるような仕方で勧誘した。 | 同条第4号・施行規則第7条第1号 迷惑勧誘 |
契約者が消費者金融会社に借入を申し込む際に、架空の会社名と同事業者の電話番号を示して勤務先として申告するように指示したり、「アルバイト先の会社の契約社員ということにしよう。」、「年収は400万円ということにしよう。」、「借入目的は旅行にしなさい。」と指示したりするなど、消費者金融会社に虚偽を告げるように指示した。 | 同条第4号・施行規則第7条第4号 虚偽記載指示 |
消費者が支払えないと言っているにもかかわらず、「契約金は、消費者金融で借りてもらって、返済は事務所がする。あなたの負担にはならないから大丈夫、安心してくれ。」と消費者に告げた上、消費者金融会社の携帯サイトのURLを示して借入を申し込むように勧め、借金をさせて契約金を支払わせた。 | 同条第4号・施行規則第7条第7号 借入強要 |
「納入された資金はいかなる理由でも一切返金されない」との条項を契約書に設け、契約の解除に伴う精算金の定めにおいて、消費者に不当に高額又は高率な負担を求める契約を締結させている。 | 同条第5号・施行規則第8条第2号 不当な解約金条項 |
6 今後の対応
- 勧告内容に対する改善措置について、平成21年10月15日までに、都知事あてに報告させる。
- 勧告に従わない場合は、条例第50条に基づき、その旨を公表する。
※参考資料 事例集
問い合わせ先 生活文化スポーツ局消費生活部取引指導課 電話 03−5388−3073 |