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債務整理の理論

2 債務整理・過払い問題における最高裁平成19年2月13日判決について@

高金利業者に対する、過払い金の取戻しに強烈なブレーキをかけた最高裁判例が、最高裁小法廷平成19年2月13日判決です。

この判決は、過払い金の計算方法について、取引が連続していない期間があった場合には、その期間で前後にわけて過払い金を計算せよという趣旨の判断をしました。

同一の事例における最高裁の判断を変更するためには、必ず最高裁まで争い、最高裁大法廷という、ほとんど開かれない裁判にて争うことになります(理論的には、下級裁判所は各々の判断により、最高裁の過去の判例と抵触する判断を下すことも可能ですが、上級審が判例違反を理由に破棄することが可能なため、通常は、最高裁の判断には右へならえ、ということになります)。

参考条文
裁判所法第10条
事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。
3.憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

ところで、取引の中断があった時点で、過払い金を分けて計算すると、どのような不利益があるのでしょうか。

ひとつは、本来過払いとなっていたことから、借りないでよかった分のお金についてまで利息を支払わされるという点です。

もうひとつは、初めに行われた取引における過払い金が、時効になる可能性が高まるということです。

過払い金の時効については、取引の最終日から10年とされています(最高裁平成21年1月22日判決)。

そのため、取引の中断があった場合に、その中段部分で分けて過払い金を計算すると、時効にかかる過払い金が増えるのです。

例をあげると、平成元年1月1日に借入をし、平成9年1月1日に完済して、その2年後の、平成11年1月1日から、平成20年1月1日まで取引をしていたとします。

過払い金を一連計算できる場合には、平成元年1月1日から平成9年1月1日までに発生していた過払い金は、自動的に、何らの手続きを経ることなく平成11年1月1日に借入をした借金の返済に充てられることになるので、時効になることはありません。

他方で、過払い金の一連計算ができない場合には、平成元年1月1日から平成9年1月1日までに発生していた過払い金は時効消滅してしまいます(平成9年1月1日から10年以上が経過しているからです)。

そのため、今回の最高裁平成19年2月13日判決により、過払い金の取戻しは、非常に困難となったか、あるいは、取り戻せたとしても、大幅に金額が目減りしてしまうという結論になりつつあるのです。

そこで、今回の最高裁平成19年2月13日判決の法律的・現実的問題点を考察します。

まずは、最高裁平成19年2月13日判決(関係のない部分は一部省略)を見てみましょう。

最高裁平成19年2月13日判決

貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し(以下,この過払金を「第1貸付け過払金」という。),その後,同一の貸主と借主との間に第2の貸付けに係る債務が発生したときには,その貸主と借主との間で,基本契約が締結されているのと同様の貸付けが繰り返されており,第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか,その貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り,第1貸付け過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されないと解するのが相当である。

なぜなら,そのような特段の事情のない限り,第2の貸付けの前に,借主が,第1貸付け過払金を充当すべき債務として第2の貸付けに係る債務を指定するということは通常は考えられないし,第2の貸付けの以後であっても,第1貸付け過払金の存在を知った借主は,不当利得としてその返還を求めたり,第1貸付け過払金の返還請求権と第2の貸付けに係る債権とを相殺する可能性があるのであり,当然に借主が第1貸付け過払金を充当すべき債務として第2の貸付けに係る債務を指定したものと推認することはできないからである。

これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,上告人と被上告人との間で基本契約は締結されておらず,本件第1貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生した平成8年10月31日の後に,本件第2貸付けに係る債務が発生したというのであるから,上記特段の事情のない限り,本件第1貸付けに係る債務の各弁済金のうち過払金となる部分は,本件第2貸付けに係る債務に充当されないというべきである。

上記判決のうち、最高裁が出した結論部分が赤字部分です。

最高裁は、長年金銭消費貸借取引が行われていても、途中で完済したり、取引が行われなかった期間があった場合には、原則としてその取引が連続していない部分で分けて過払い金を計算しなければならないと判断しました。

そして、例外的に、一連計算を認める場合として、先に行われていた取引終了後も再び取引が想定されている場合や、先に行われた取引における過払い金が、後に行われる取引における貸付金の返済に、何らの意思表示もなく充当する旨の特約をした場合などをあげています。

この判断における問題点は、一連計算が認められるためには、将来の取引はどの程度想定されていればよいのか?という点がまず挙げられます。

多重債務者から見ても、貸金業者から見ても、将来の取引を全く想定していないことなどありえません。

特に、貸金業者は、お金を貸すことが商売なのですから、常に将来も貸し付けを行いたいと考えているはずです。

そのため、取引の中断期間があっても、後々には取引を再開したいという意思はあったはずです。

途中で完済できるような支払い能力の高い顧客には、もっと毎月の返済でアップアップになるまで貸し付けてやりたいと考えるのが高金利業者に共通する性質でしょう。

以上のとおり、取引に中断期間があっても(特に完済したようなケースでは)、貸金業者は将来取引が再開されることを想定(熱望)していると考えるのが自然です。

しかし、全国の裁判所の多くは、この取引の想定の程度が相当に高くなければ一連計算は認めないという解釈をするようになってしまいました。

さらに、「貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が存在する」ケースは、そもそも貸金業者は過払い(取り過ぎ)になる前提で契約書を作成するはずがないことからして、一件もないと言っていいほどレアなケースです。

以上のとおり、完済などにより、途中で取引が中断しているケースでは、今まで発生していた過払い金を取り戻すことが著しく困難になり、最悪の場合は、いままで発生していた過払い金のみ時効になり、後の借金だけが丸々残るという、極めて反社会的・弱者非救済の結論が導かれることになります。

次回は、最高裁がこのような判断をした法的根拠についての問題点にも触れていきます。

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